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道場の外の広場に激しい声が鳴り響く。
「せい! えい! タァぁぁあ!」
「てやーー!」
「どうした? お前らの力を全部見せてみろ!」
「クソーー、オリャーー!!」
新しく入門した修羅達は一斉に誠に攻撃をするも、誠にはかすりもせず、蹴飛ばされたり、投げ飛ばされている。
当然誠は能力も使っていなければ、武器もなく素手だ。
対する修羅達はそれぞれ得意な武器を使って攻撃をし、その中心である修羅は必死に槍を振り続ける。
「どうした? 殺しにくる勢いでこい!」
「流石はランキング一位ですね。それでは奥の手を使わせていただきます! みんなやるぞ!」
修羅の体が突如として帯電した。
そして他のメンバーもそれぞれの属性のオーラを纏い始める。
「ほう、その年でそこまでできるか……。」
「先生も本気を出した方がいいですよ。」
「面白い、かかってこい!」
今度こそ、修羅達は持てる能力の全てを吐き出して、一斉に誠へと襲いかかる。
だがしかし、やはり誠は能力を使うまでもなくそれら全てをさばききった。
「どうした? それで終わりか? お前らは全然能力の使い方がなってない。精霊の力っていうのはな……こう使うんだ」
アイスフィールド
修羅達の足が凍りくと、地面から離れなくなる。
「あ、足が! くそくそくそ!!」
「わかったか? 戦いの基本はまずは相手の足を止めることだ……。お前らの力はわかった。お前らは弱い。強くなりたかったらこれから本気で訓練することだ」
その言葉と同時に修羅達の足に張り付いていた氷が溶けた。
「はぁはぁ……。はい! これからよろしくお願いします!」
こうして新たな弟子が増えた誠は、その日から少年達に基礎から教え始める。
そして道場で指導を終えた誠は、美琴の待つ家へと戻った。
すると就寝前、布団の中で美琴が今日の事について聞いてくる。
「ねぇまこと、新しく入った子達どうだった?」
正直、誠は驚いていた。
少年たちは全員既に精霊の力を行使できており、粗削りだが将来性がかなり高い。
その潜在能力は、過去に誠が指導してきた弟子の中でも抜きん出ている。
「あぁ、かなり見込みがあるな。まだまだ粗削りだが、あいつらが大きくなったら多分この町はオニンピックでいいところまで行けると思う。」
その未来を想像してか、誠も久しぶりに興奮していた。
「まことのそんな顔初めて見たかも! 凄いね! 今度私も見にいこ! かわいい子いるかなぁ……。」
「馬鹿が、遊びじゃないんだぞ。それに自分の年齢を考えろ、相手は子供だぞ……。」
現在美琴は24歳であり、誠は26歳だった。
「ぶーーー! そこは嫉妬してくれるところでしょ! まことのバカ!」
「あのなぁ……。子供に嫉妬してどうすんだ……。」
美琴に呆れながらも、誠は眠りについた。
翌朝、誠が道場に着くと、昨日と同じ様に少年たちが立っている。
「ん? どうした? 先に入って訓練してていいんだぞ?」
誠は少年たちに尋ねた。
「はい、先生! 既に2時間訓練していました。先生がもうすぐ来ると思い、挨拶をするために待っていました!」
誠はまたしても驚く、この子達は今までの門下生とは全く違うと。
「そうか、良い心掛けだ。だが俺が来たからには休めると思うなよ?」
「わかってます! 今日も一日よろしくお願いします。」
そして今日もまた地獄の特訓が始まるのだった。
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