23人が本棚に入れています
本棚に追加
新しい弟子たちが来てから4年の月日が流れた……そして修羅達は16歳になる。
弟子たちは誠からの指導をみるみるうちに吸収していった。
もう最初の頃のように5対1では流石に誠でも敵わないほどに。
そして修羅達はようやく今年からコロシアムにエントリーできるようになる。
通常ならばEランクからスタートするのだが、修羅達は他の選手達よりも圧倒的に強い為、誠からの特別推薦枠としてBランクからスタートだ。
「先生! 僕たち16歳になりました! 今年からコロシアムに出場できます!!」
修羅は嬉しそうに笑みを浮かべながら師匠である誠に報告する。
「喜べ、お前達は俺からの特別推薦でBランクからスタートだ。お前たちならあっという間にAランクになるだろう……俺が保証する。」
誠は本心からそう思っていた。
自分でさえ、既に危ういと……。
「ありがとうございます! これも先生の指導のお蔭です! それでは行ってきます!」
「そうか! 道中、気を付けていくんだぞ。」
そう暖かく誠は修羅たちに声をかけ、送り出した。
誠は変わった、初めてのオニンピックに向けた合宿から、美琴と出会い、そして可愛い弟子達に囲まれ、誠は以前とは比べ物にならないほど、笑みを浮かべるようになった。
昔のような邪悪さはもはや見る影もない。
そして修羅たちは誠の期待通り、Aランクに昇格するまで一度も負けることはなかった。
修羅達は早速誠にAランクになった事を報告する。
「先生! ただいま戻りました! 全員Aランクに昇格しました!!」
しかし、誠は修羅達に厳しい言葉を贈った。
「いいか、お前たち! Aランクになったからって調子に乗るなよ! ここからが本当の勝負だ! まだまだ他の町には強い奴はうじゃうじゃいる。今年はオニンピックに間に合わないかもしれないが、決して油断せずに精進していくんだぞ!」
「はい! わかりました師匠! でも悔しいです! 時間が足りてないだけで、僕たちよりも弱い奴らがオニンピックに出るなんて……。」
修羅は少し不服そうだった。
他の4人の弟子達も実力なら修羅は少し劣るものの、決して他のランキング上位に負けるような子達ではない。
しかし、誠は敢えて心を鬼にして怒る。
「甘えるんじゃない!! 運も実力だ! 4年後に必ずチャンスが来る! それまでに己の心の弱さを磨いておけ!!」
そういうと誠は道場から出て行った。
誠が道場から出ると、修羅は今まで誠に見せてこなかった表情をすり。
そう昔の誠と同じ邪悪な笑みだった。
「今のうち、せいぜい先生面するんだな……。」
そして1ヶ月後、オニンピックの選考を兼ねたランキング戦が始まる。
出場資格はAランク上位10名からなるリーグ戦だ。
そして今日は選考会最終日。
ランキング1位の誠とランキング2位の鬼の勝負である。
正直、結果は戦わずとも見えていた。
誠も年を取ったとはいえ、実力が違い過ぎる。
故に勝負は一瞬で決まった。
「それまで!! 誠選手の勝利!!」
会場に大歓声が響きわたる。
しかし、この後に誠の運命を変える思いもしない出来事が起こるのだった。
最初のコメントを投稿しよう!