鬼の国

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 誠は、どうやって生きていけばいいのかわからなかった。  生きるには食料が必要……。  生きるには寝床が必要……。  どうすればいい?  簡単だった……。  ないなら、ある者から奪えばいい。  少年が商業区画を歩いていると美味しい匂いがした。  モツ煮専門店である。  少年は食べた事のない、いい匂いにつられてその店に入った。 「へい、らっしゃい! ん? お父さんとお母さんはどこかな?」  店主は、子供が一人で店に入ってきたことから尋ねた。  ・・・・・・。  誠は無言になる。  そしておもむろにその店主の首をはねた。  辺りは騒然とするも、誠は無言で椅子に座り、一言発する。 「ご飯……。」  しかし、周りはそれどころではない。  いきなり、小さな少年に店主が殺されたのだ、周囲は混沌とする。 「キャーーーーーーーーー!!!」 「なんだこれは!?」 「あいつがやったのか!?」 「医者を呼べ!!!!」 「もう無理だろ!!それよりあいつどうすんだよ!」  そんな騒がしい周りをよそに、ご飯がこない誠は痺れを切らした。  誠の周りがどんどん凍っていく……。 「早く……それ食べたい……。」  誠は一番近くにいた女性にモツ煮を指差していった。  女性は恐怖したが、本能がそれに従う。 「今すぐ持ってきますので、殺さないでください!!」  女性は急いでモツ煮をよそって少年に渡した。  少年は黙って、モツ煮を受け取り食べ始めた。 「美味しい……。」  少年は生まれて初めてモツ煮を食べた。  そう、死体のすぐそばで笑顔を見せながら……。  その笑みはとても5歳の少年がする表情ではない。  周りの鬼達は息を飲み込む。  少年の邪悪な笑みを見て……。
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