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2.眞比呂と伊吹
インターホンの音が2回鳴るかならないかのうちに、里村伊吹は嬉しそうにドアを開けた。
「眞比呂さん、どうぞ」
柊真を送り届けた眞比呂が着いたのは、伊吹の住むマンション。
高校が春休みの今、眞比呂と伊吹は平日にも関わらず、おうちデートが出来る。
「おじゃましまーす。はいこれ、おみやげ」
「わぁ、○○屋のどらやき!」
「近く通ったからさ、ついでに」
伊吹のマンションは、眞比呂の部屋の半分ほどの広さ。眞比呂が遊びに来るようになって、伊吹はその狭い部屋に二人掛けのソファを買った。
「お友達、お元気だったんですか」
「オトモダチね、うん、元気そうだった。今度、一緒に飯食おう?」
「眞比呂さんのお友達と・・・飯・・・」
「あ、嫌?」
「嫌なんじゃなくて、緊張します」
「たいしたことないって」
眞比呂は携帯を取り出して、柊真の写真を取り出した。それをのぞきこんだ伊吹は、うわ・・・と驚愕の声を上げた。
「めっちゃイケメンじゃないですか・・・イケメンの友達はイケメンなんですね・・・」
「柊真っていうんだけど・・・さわやかだよね。こう見えて結構ガツガツ来るんだけど・・・」
「ガツガツ・・・?」
「あっ」
伊吹は眞比呂と付き合うようになってから、徐々に裏を読む力が付いてきた。このときも、眞比呂の台詞に違和感を感じた。
「眞比呂さん・・・お友達ですよね?」
「・・・あー、うん、ええと・・・今は、友達だね」
「ということは?」
「昔、付き合ってた、かな」
「やっぱり・・・」
伊吹の顔が曇る。こういう部分はまだ、眞比呂の奔放さに着いて行けていなかった。
眞比呂は伊吹の頬を両手で軽くつねった。
「まひろひゃん・・・」
「付き合ってたのは、大学生の頃の話。今は友達だけど、お互いよりを戻すことは絶対ないと思ってるから、心配するな」
「ほんとれすか・・・」
「本当。だし、俺と伊吹がつき合うのに、柊真の力も借りてるんだよ」
「へ?」
「あの・・・黒レースのパンツ、覚えてる?」
伊吹は目をぱちくりさせた。眞比呂は頬から手を離した。ぶるん、と顔を振って、伊吹は自分の顔を両手でさすった。
「あれ、教えてくれたの、柊真だから」
金魚のように口をぱくぱくさせ、伊吹の顔はみるみる血液が集まって真っ赤になった。
「あ・・・あれを・・・・・・」
「そう。だから、俺たちを応援してくれてるってこと」
「・・・・・・?そう・・・いうことになります?」
「なるなる」
「うーん・・・?」
「深く考えないの」
眞比呂は再び伊吹の頬の肉を掴み、引き寄せてキスをした。うやむやにされながらも、伊吹は目を閉じて、強引に入ってくる眞比呂の舌に陥落させられた。
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