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◆◇◆◇
「ママ、何か手伝うことはある?」
七歳になったラロは、さらに優しく美しい少年となっていた。
「あら、ラロ。今日は聖歌隊の練習じゃなかったかしら」
変わらずに美しさを維持しているアイナが、振り向きざまにラロに尋ねた。
「うん。あと十分したら教会に行くよ。その前に何か手伝えることがあればと思って」
「本当にラロは優しい子ね。もしかすると、あなたはいつか、神様の啓示を受け取れるかもしれないわね」
「神様の啓示?」
「そう、啓示よ。神様のお言葉のことよ。ラロなら、いつか受け取れる日が必ず来るわ」
アイナはラロを軽く抱きしめながら、そう話した。アイナの胸に抱かれながら、ラロは"啓示か"と反芻し、いつか受け取れればいいなと笑顔を浮かべていた。そして、大好きなパパとママと幸せにずっと暮らしていたいと願っていた。
田舎の町は娯楽が少なく、子供たちも大人たちも遊びの種類は限られていた。この町では、どの家庭も数少ない娯楽として町のラジオ局の放送を一日中流している。平和な町のため、話すネタの少ないディスクジョッキーが、毎日さかんにリクエストの電話をくれと連呼している。ラロ自身は友達と走り回り、時にサッカーをすることも楽しかったが、それ以上にハマっていたことがあった。
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