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「好きだ。」
20歳の私と同じくらいの歳だろうか。サラサラの黒髪の美青年の眼差しは強くて熱かった。5月の夕焼けがその湖面のように澄んだ瞳に映っている。
「・・・あいにく、妹には彼氏がいますので。」
一瞬その美しい瞳に見とれてしまった。慌てて目を逸らし、何度も繰り返し慣れてしまった台詞を機械的に発する。
「そうじゃない。」
彼の前にカップを置くとその手をぐっと掴まれ、驚いて顔を上げる。
「瑠渚のことが好きなんだ。」
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