唇で咲かせて

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「そろそろ言えるかな。」 唯月くんは優しく髪を撫でてくれた。唇や舌だけでなく(かたく)なな心までほどけたようだった。彼が持っていた懐中電灯は足元に落ちていて、お互いの顔は見えない。そのことが私の背中を押した。唯月くんに触れられて目覚めた唇は心の中にある言葉をそのまま音にすることが出来た。 「唯月くんともっと一緒にいたい。」 「俺も。」 再び唇が重なった。
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