唇で咲かせて

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何度も繰り返される『可愛い。』『好き。』の言葉。凛彩は私の何倍も言われてきたのだろう。でもそんなことはもういい。今までのことが全部どうでもよくなるくらい、今私は幸せだった。 全身で想いをぶつけてくる唯月くんの体や彼が発する一言一言が頑なに閉じたまま日々を重ねてしまった私の心を優しく温めて開いていく。 「瑠渚・・・。」 切なげな声で名前を呼ばれた。その夜の記憶はそこで途切れている。
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