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5.夢で現のデザートパーティ
家に帰ったキョーコをリビングで迎えたのは、あろうことかキョーコの家族だった。
どうして、ディナーパーティでキョーコの中の悪魔に喰われたはずの家族がいるのか、理解が出来なかったが、キョーコは恋人を家族に紹介できる嬉しさに、食事用のテーブルに別の椅子をくっつけて、五人が座れるようにした。
「皆、その……恋人の、リンコちゃんだよ」
「――」
「――」
「――」
「――」
「もうっ、リンコちゃんったら。って、お父さんも何言ってるの?勇衣は気づいてたの?もう、いつから知ってたのっ。お、お母さん、言いすぎだよ、そんなっ」
「――」
「――」
「――」
「――」
夕焼けに包まれたような色合いのリビングの食卓に座っているのは、キョーコと、誰かの球体と。それから、ホールケーキの頭を持つキョーコの家族だった。
父親はチーズケーキ。母親はチョコ。甘いもの好きな弟の勇衣は苺のショートケーキ。
「ねぇリンコちゃんケーキだよおいしそうだね一緒に食べよっねぇ?」
スタッカートのリズムで声を漏らして笑うキョーコは、夢中になってケーキを喰らった。
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