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一青恭子には、想い人がいた。
枢木凛湖。同じクラスで、バドミントン部のエース。勉強もよくできて、明るくて、優しくて――。
キョーコは、そんなリンコが好きだった。叶わぬ恋だと初めから分かっている半直線の想いだった。
キョーコは、特に部活に所属しておらず、成績は真ん中、友人は少ない自分とリンコとは住む世界が違うのだ、と分かっていたから。
そんな折、いつものように授業中リンコに見惚れていると、ふいに目があった。キョーコは飛び上がるくらい驚いて、それだけでもう嬉しくて、恥ずかしくて、どうにかなってしまいそうだった。だがあろうことかリンコは、交わった視線のまま数秒間キョーコを見つめたかと思うと、頬を朱に染め、嬉しそうにはにかんだのだ。
その瞬間だ。
脳裏に稲妻が迸り、全身を巡る血液がリンコへの想いで沸騰し、顔はおさげをほどいて髪の毛で隠してしまいたくなるほど真っ赤になった。薔薇の花びらのように。
キョーコのその様子を見たリンコはくすくすと笑うと、きゅ、と目を細め、キョーコに充ててウインクを射った。 ウインクの矢は、キョーコのハートに突き刺さる。
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