俺の家にいる、愛しい人。

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俺の家には、カップルが住んでいる。 掃除機をかけている俺の横で、リビングのソファーに並んで座っている、そこの二人だ。 細身ながら程良い筋肉がついた身体付きに、切れ長のやや垂れ目で子どものような笑顔を見せているのが結也(ゆうや)、そして背中まで伸びるストレートの黒髪をゆるく束ね、つぶらな瞳で彼を優しく見つめているのが、智佳(ちか)だ。 ここは元々祖母が住んでいた、戸建ての小さな平家だ。一人で暮らしていた祖母が介護施設に入居し、その後家族会議が行われた結果、職場の近い俺の入居が、勝手に決定していた。古くて狭いが、基本的に平日は仕事を終えてまっすぐ帰宅するだけだし、地味な俺にはそこそこ似合っている気がして、居心地は悪くない。 俺と結也は大学の同級生だ。 3年前、共に情報工学部を卒業し、俺はSEとして就職を、結也はそのまま大学院に進学した。 当時の俺達の関係はというと、学内で会えば挨拶は交わしたし、同じ研究班で活動したこともあったが、あくまでただのクラスメイトという程度の間柄だった。当然、卒業後は連絡をとるようなこともなく、月日は流れていった。 そんなある日の夜のことだった。 俺は、いつも通り仕事を終え、自宅へと向かっていた。 風の強い日で、次第に雨もぱらぱらと降ってきた。 「うわ、これ濡れるわ…」 傘もない俺は少しでも早く帰宅できるよう、帰路の途中の公園内を突っ切るルートを選択した。小走りで土管型の遊具の横を通り過ぎたときである。 「…ん?」 視界に何か違和感があり、俺の足が止まった。一歩戻り、恐る恐る遊具の中を横目で確認する。土管の中で、漫画の様に小さく丸まっている男と目が合った。 「…よっ。久しぶり。」 「………ゆ、結…也…?」
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