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「な…な…なに急に。
そんなことないけど、なんで…。」
まずい。
完全に動揺している。
自分でも分かっているのに、焦る気持ちがコントロールできない。
ごめん、ごめん、ごめん、結也…。
とっさに思ったのは、とにかく結也に迷惑をかけてしまうということだった。結也と智佳の関係も、俺と結也の関係も、全てが終わってしまうかもしれない。混乱する俺の頭は、なんとか上手く弁解する方法を必死に考えながら、同時に結也への謝罪をただひたすら繰り返していた。
智佳が、おもむろに椅子から立ち上がった。
俺はなぜか構えの姿勢をとりながら、思いつく限りの言葉を並べた。
「多分誤解だよ、そう見えて嫌だったとしたら謝るから…。」
俺はそう言いながら、自分の心が抉られるのを感じた。俺が結也を好きなこと、男同士だし異常だと、自分でも常に心のどこかで思っていることだ。でもどこかで少しだけ、結也に期待もしていた。ただ、彼女を大切にしている今の結也との可能性はほぼゼロに違いないのが現実だ。声に出すと改めて思い知らされるようで、心底辛い。
パサ。
「え……?」
構えの姿勢をときながら、俺が目にしたものは、服を脱いで一糸纏わぬ姿になった、智佳だった。
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