俺の家にいる、愛しい人。

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「な、何してんの…!? ふ、ふ、服、脱げてますけど!? き、着て!とにかく!」 俺は反射的に、顔を背けた。 見てはいけない、と理性が制御する一方、一瞬視界に入った智佳の姿が頭から離れない。状況が飲み込めないほど動揺しているというのに、まるで興味があるかのような自分の身体の反応に気が付き、心底がっかりした。 「急にどういうつもり…」 焦りの中、俺がようやく絞り出した声は、智佳の動きに遮られた。 正面を向けずにいる俺の頬を、智佳の両手が包んだ。俺は顔の向きは固定したまま、視線だけを智佳へと向けた。目が合っているが、その表情からは何を考えているのか全く読み取れない。智佳は俺の顔を、自分の方へと引き寄せよせた。 「ちょ…」 待って、と言う俺の言葉は、最後まで続けることができなかった。 息が止まった。 そこに、結也がいた。
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