家中の燕

【其の１】一羽の燕

燕とは総じて若い愛人のことを言う。

戦前戦後に女性活動家や作家として奔走した “平塚らいてう” が5歳下の画家である奥村博史と恋仲になった時のことだ。

二人は付き合いを深めていくが、友人の嫉妬から邪魔が入ったことに悩んだ奥村が、らいてうの元を去る際に残した手紙の一文に『若い燕は池の平和のために飛び去って行く』とあったことから、年上の女性と恋をする若い男性のことを『若い燕』と表現するようになった。

私には恋を語り肌を重ねる相手が複数人いる。

そんな日々の中、一羽の燕が我が家に舞い込んだ。