ウーマンデザイア

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 それから数時間経って山田は美野里に揺り起こされた。 「あら、やっと目覚めた。」  見ると、美野里はTシャツにバミューダパンツ姿に変わっていた。親が帰ってくる前に普通の格好に戻るべく山田が寝ている時に着替えたのだ。 「全くもう、私が男に襲われるかもしれないのに何で昼間に寝ちゃうの?」 「いや、自分でも分からない。」 「3時間も寝てたのよ。」 「えっ、ほんとに?」 「ほんとよ。これ見て!」と美野里は腕時計を見せる。 「あっ、ほんとだ。もうこんな時間。」 「ほんとに惚けたお兄さんだこと!」 「いや、ハッハッハ!ほんとに訳が分からん。」 「兎に角、お父さんとお母さんがもう直ぐ帰って来るから怪しまれないように帰ってね。」 「怪しまれないようにって何だよ。」と山田は言いながら起き上がると、陰茎が勃起していることに気付いた。  昼寝すると、生理現象で大抵、勃起するからそれだと思った山田は、美野里がもっこりに気づいてるだろうか、勘違いしなければいいがと思ったりした。  そう言えば、夢の中で美野里があれやこれやと陰茎を弄んで僕はいってしまったんだと山田は思い出し、実際、陰部がぬめぬめした感じがする上、帰り際、「私を守ってくれてありがとう」と皮肉っぽく言った美野里の顔が嬌笑を浮かべ、いやに色づいているのが気になった。  山田は借家に帰ってから陰茎をチェックしてみると、どろどろと白い物が。そうなのだ。精液がついていたのだ。だから夢精してしまったんだと山田は思い、選りによって美野里の前で、嗚呼、何てこった。こんな恥ずかしいことがあるかと山田は顔から火が出る思いをした。顔を真っかっかにしながら美野里が気づいていなければ良いが・・・いや、寝姿を見ていたに違いないから・・・と山田は気を揉み、恥じ入ってその状況を想像したくもなくなった。それにしても何で眠ってしまったんだろうと山田は不思議になり、アイスコーヒーを飲んだ後、夢以外記憶がないことに留意し、夢が自棄にリアルだったから想像を逞しゅうして、これはひょっとすると、美野里はアイスコーヒーに眠り薬を入れ、僕が寝た後、陰茎を夢の通り弄んでいかしたのではないかと考えるに至った。けれども、まさか、あの美野里が・・・と殊にピアノを弾く彼女の優雅な姿を想起して自分の描く理想的なイメージと先入観に従って思うと、やっぱり夢精してしまったんだろうと再び悔いる仕儀になった。兎に角、山田は釈然としないものが残った。  確かに山田の想像は当たっていたのだ。美野里は可愛く綺麗な顔に似合わず猥褻なことをして彼をいかした後も頗る興奮しながら陰茎をパンツに収め、社会の窓を閉め、ハンカチで山田のバミューダパンツに付着した精液を拭き取り、山田を起こした後、素知らぬ顔で惚け続け、山田が帰った後、こんなに上手くいくとは思わなかったと独り悦に入り、大人の肉棒の得も言われぬ感触が忘れられず、自ずと生々しく隆々と勃起した陰茎と射精したシーンを思い浮かべ、興奮冷めやまず体が火照って火照って仕方がなかった。それで冷蔵庫の前へ行くなりTシャツを脱いで冷凍庫から保冷剤を取り出すと、胸の谷間に押し入れて豊満な乳房でぎゅっと挟み込んだ。ブラジャー越しに乳房の横に宛がった両手で抑え込んだのだ。すると、俄然、心の臓から冷え込んで体中が一気にクールダウンしてすっかり涼しくなるのだった。
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