ウーマンデザイア

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 それからというもの山田は以前にも増して美野里に感興を覚えるようになり、彼女が只ならぬ存在になったが、美野里は例の如く日光浴をすることはなくなった。それに美野里が顔を合わせても以前のような親しみを示さなくなったので山田は美野里が自分からどんどん離れて行くような気がした。  美野里は端から山田のことを恋愛の対象とは考えていなかった。単に気まぐれで大人の陽物を知りたかっただけであって例の日光浴はその為に山田を誘い込む罠であったのだ。彼女はその美貌のお陰で高校で男子生徒にもてる上、好色だから何人もの男子生徒と肉体関係を持つ相当な遣り手でほとんど男子生徒を手玉に取って楽しんでいた。何しろ彼女は美貌だけでなく可憐な仕草や美声で男を惑わすことも操ることも魅せることも誑し込むことも出来るのだ。そういうことにも勉学にも長け、才気走っているのだが、自分に言い寄る男子生徒全てと恋愛の対象として付き合ってはいなかった。何故と言うに彼女は高校卒業後、大学に行って大学でも言い寄る男を手玉に取って楽しむつもりでいたし、大学卒業後、放送局に就職して美人アナとして売り出して美貌を武器に玉の輿に乗る夢を持ち、必ずや実現出来ると自信を持っているから今、付き合っている男は性の道具でしかないと言っても過言ではないのだ。  そんな訳で山田は仮令、美野里に告白しても絶対、脈がないのだが、美野里が高校3年の時、告白しないではいられなくなって美野里が高校卒業したら直ぐにでも告白しようと決意すると、その矢先、美野里が東京の大学に合格して4月から上京して大学の寮に入ってしまうことを美野里の父親から聞かされた。その場で山田はおめでとうございますと言って美野里の父親と和やかに歓談したが、独りになってからもう2月中旬だったので焦燥感に駆られ、何処でどう会って告白しようかとそればかり考え、思案した結果、今度の日曜日に美野里の両親が仕事に出かけたら即、美野里を訪ねようと決心した。  
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