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「まさか昼間に戻ってくるとは。帝妖隊というものは大変なんだな」
「働いたことのないお前には分からないだろうな」
「ちょっと待て、夫をお前呼びとは」
「旋!!••••••これで良いだろう」
「はぁ••••••」
こっちは疲れてイライラしているんだ。殺意がみるみる増殖していく。今すぐ斬り捨てたいぐらいだけれど、そうしたら旋を利用出来なくなってしまう。だから今は殺さない。
それに、普段なら先に寝て、それからお風呂に浸かるようにしていたがすっかり疲れて忘れていた此奴の存在。(認めたくないが)一応、夫という立場である。
(無理矢理)始まった新婚生活一日目の今日、何も起こらない訳がない。此奴なら絶対に何かしてくる。断言出来るほど、嫌な予感を察知していた。
「風呂なら沸いてるぞ」
「自分で沸かしたのか?」
「妖力さえ使えば一瞬で沸かせる。それに俺も入るからな」
「そうか。なら、先に入る」
手拭いと石鹸を用意して風呂場へ向かう。何が起きるか分からないので、一緒に哀染華も持ち歩く。哀染華には太めの糸を何重にも巻いておいた。
脱衣所の戸を閉め、眼帯と軍服を取り払った。一糸纏わぬ姿を鏡に写す。あれだけサラシを巻いているのに、胸は潰れないものなんだと理解する。
「何で女として生まれたんだろう」
そんな疑問を持ちながら、私は手拭いと石鹸、哀染華を持ち浴室に行く。そして糸を巻いている哀染華を外に、窓際に石鹸と糸の端を置く。こうすれば、いつ旋が何かしてきても糸を引っ張って、すぐに刀を抜ける。
何もないことが一番なのだけれど。
段々ウトウトしてきて、不覚にも眠ってしまった。
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