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小町の足元が割れ、そのまま湖に落下した。水位は大人の腰の深さ程度だが、足がぬかるんで上手く這い上がれない。何より少年を抱きかかえたまま、氷の上に這い上がる元気すらも寒さは奪い去っていった。
「寒いよおお」
「大丈夫だ」
小町は少年を氷の上に持ち上げながらそう言った。少年は自分で陸に戻れないくらい疲弊している。だが、少年を抱きかかえると氷が持たない。これ以上水に沈めるわけにはいかない。
どうしたものかと、歯ぎしりで震える脳みそで考える。すると、その眼前に靄が舞い降りた。少年の身体が突然宙に浮いた。まるで空から女の子が下りて来るアニメのシーンを逆再生しているようだ。その輪郭がジョジョに具現化する。そこにはあの白い髪の少女がいた。全身がまるで生きているようかのように具現化し、薄く雪が積もった氷の上に足跡を残している。
「私がこの子を陸まで運びます。上がれますか?」
「あ、ああ。俺は大丈夫だ。先に行ってくれ」
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