カリカリの謎

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カリカリの謎

「恵子さん。これ聴いてみてください」  オンライン飲み会の録画データを新たに入手した卓郎は事務所のデスクで何度も再生し、ある音を聴いてヘッドホンを外して恵子に渡した。 「これ、ホラーゲームじゃないですか?」  卓郎はパソコンの画面をヘッドホンをした恵子の方に向け、映像を再生して事件が起きた時間、ルーム画面が真っ暗になる直前を見せた。 『カリカリ……』って微かな音が雑音に混じって聴こえる。 「カリカリ?」  ヘッドホンを外した恵子はSNSの『悪霊が現れた時のサイン』が嘘ではなかったのかと思った。正直、トレンドニュースとしてコトダマスポットに掲載しているが信じてはない。 「恵子さん。これ、ホラーゲームじゃないすか?」 「どういう事?」 「この少し前、被害者以外のメンバーは少しホッとした表情をしてませんか?」  確かに参加メンバーの映像を見返すと、手の仕草とか声のトーンが助かったって言ってるように感じ取れる。 「この安堵感は……ババ抜き?」  恵子が肩肘をついて的確にそう呟くと、卓郎はまじまじと中川翔子似の顔を覗き込み、「いや、まだ私はババアじゃないから?」と怒られた。
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