カリカリ

ネットニュース・アプリ

「恵子さん。三十六歳とは思いませんでした」

「それって、褒め言葉かしらね？」

「しかしトーク形式のニュースって、微妙じゃないですか？文字削るのが大変ですよ」

「でも、もう人気じゃない？このまま読者が増えれば、ポーナスも弾めそう」

「やっぱ、才能あると思いませんか？」

「卓郎くん。ほぼインタビュー載せてるだけだし。この事件がバズってるだけよ」

　二子玉川駅付近にあるマンション・オフィスの一室で二人はデスクの席に着き、パソコンを操作しながら気軽に会話している。恵子はネットアプリに掲載するスポンサーを探し、卓郎は取材情報を整理して記事を書いた。