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「ーーー逃げた、か」
天気は、数日前よりパッとしなかった。
が、思い切って隠棲中であるマウンテン赤城の麓の紅葉狩りに出かけてみた。
帰りの一休みにと立ち寄った寂れた茶屋で、ふとこの山奥にはどうにも似つかわしくない仔猫の鳴き声を聴く。
王国の秘宝である魔具の鉄板・通称アイポーンのトゥイッターにそのことを書くと、途端に心配性の爺から光速の返信が書き込まれた。
「……全く、どれだけ俺のタイムラインをチェックしているんだ」
ただの茶屋の飼い猫だった。つまらぬオチだ。
爺の言うような心配は全く必要ない。
あれが敵国「徒知義乃国」の刺客であるなど。
あまりにも突飛過ぎてーーー
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