乾智子、怪獣課に配属になる。

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レジのパート後に、そのままラーメン屋に——。 ラーメン屋はスーパーから実家に帰る途中にあるから、通勤には便利だ。 早めに行って、賄いのラーメンをご馳走になり、少し奥で休ませて貰って、昼からのバイトのオバちゃんと交代で皿洗いに入る。 無言でガチャガチャと下げられて来た食器をさっと洗い、業務用食洗機に突っ込む。 ——特に話す事もない。毎日変わらぬ日常。 レジ打ちの時と同じ、反省でも後悔でもない、何だか分からないネガティブな思いを、食器を黙々と洗いながら反芻する。 そして、閉店から1時間、後片付けを終わらせ、バイト終了の23時を迎える。 「お疲れ様です!」 「ああ。お疲れ様、智子ちゃん!!」 そう大将に見送られて店を出る。 途中でコンビニに寄り、ストロング0(サイダー味500ml)とからあげクン(レッド)を買い、自動ドア横のフリーペーパーの就職情報誌を一冊取った。 家に帰って、息子寛太の眠る布団に直行。 寛太の横には、金髪の女がキティちゃんのピンクのパジャマを着て寝ている。 寛太の祖母きららだ。つまり、智子の母親である。 ケバいが年齢もまだ38だし、十分寛太の母親で通る。 1人で可哀想だと、いつもきららは、夜は寛太と一緒に寝てくれている。 見た目の割には、優しい心を持っていた。 寛太の寝顔を確認して 「寛太、今日も1人にしてごめんよ」 と静かに謝る。 みんな寝静まった居間で、からあげクンをつまみに、静かにストロングゼロを喉の奥に流し込む。唯一の贅沢。 これがいつもの帰宅後のルーティーンだ。 朝食は家で食べて、昼食は持って来たおにぎり2個だけ、夕食は大将が私の身の上に同情して出してくれる賄いのラーメン。 お金は、ストロング0とからあげクン以外は、一切掛かってない。 素晴らしい!!  素晴らしいが……。 だが、このままでは、死ぬ時の走馬灯が、レジ打ちと皿洗いしかない。 家族の思い出とか欲しい。そもそも、将来の不安しかない……。 生き残れる自信がない。 就職しよう……。どっかに、ゆるくて美味しい仕事ないかな? 智子はストロング0を片手に就職情報誌を捲る。 「無いな。びっくりするくらいないな。世の中も不況だねぇ。介護は資格がないと安っすいし、コンビニじゃ今と変わらない。そもそもバイトだ。社会保障の整ってる正社員が良いのだよ。私は——」 ページを捲っていくと 「あっ!? これは……。市役所職員。学歴不問、採用試験無し、面接のみ。40万から〜。育児手当、社会保険、その他福利厚生あり。30歳まで——。公務員? 公務員なのに試験無いの!? いいね! これにしよう」 智子は翌日、レジ打ちバイトの昼休みに、早速電話をして来週の面接の約束をした。
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