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遺跡と出現
どれほど歩いただろう。
数分のような気もするし、数時間のような気もする。
魔界の森は空が見えないほど樹木が生い茂り、当然星もみえず、月も見えない。
──いや、星や月が魔界からそもそも見えるものかもわからないな。
この闇だって、夜と称しているだけで、朝がないのだから正しい呼称かは、わからないのだ。
そんなことを考えながら進み続けて、ふいにロイスは感じていた視線が消えるのを感じた。
──これは?
文字通り掻き消えた。そんな変化にロイスは片眉をひそめる。
これは何かある。そう勘が告げていた。
魔術師の勘というのは、預言にも似た効果をもつとロイスは考えている。かならず当たるということではないが、何かしら意味を持つことが多いのは事実。
だからロイスは自分の勘を信じてるし、今まで信じてきたからこそ生き残れてきた。そうも思っていた。その勘が、警鐘を鳴らしている。
ロイスはごくりと唾を飲みこんで、自らの周辺に繭状の防御魔術を作り出す。
ロイスは今まで以上に警戒しながら闇を進んだ。
唐突に開けた場所に出た。
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