遺跡と出現

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 いくらか進んだころ。唐突に突き当たりにぶつかった。  正確には正面に巨大なアーチがあり、その先に部屋がある。道そのものは左右にそれぞれ続いていた。そのどちらの道も興味深いが、それよりもまずは目の前のアーチの奥。  小さい部屋だ。  アーチの外からみて、突き当たりの壁が見えるほどに小さい。  興奮するロイス。こういう場所には何かある。と勘が告げている。  アーチをこえて、部屋に脚を踏み入れた次の瞬間、ロイスはハッと身構えた。  刺すような視線。  敵意。  それがロイスに向けられている。  首筋が粟立(あわだ)つ感触がして、ロイスは周囲を見渡した。    ──近いっ! 索敵(さくてき)の術に引っ掛からなかった?  わずかな焦りが滲み出る。  周囲に張り巡らせた害意に反応する魔術。その領域内に、術者に気づかれずに入り込むなど不可能だ。  しかし不可能なことが起きている。  荒い息を抑えて、耳を澄ます。  感覚を鋭く尖らせて、キンっと意識を張り詰める。  ゴドンッという音。  ガリガリという音 ──何か固いものが石を削る音?  その音は少しずつ近づいてくる。  ゆっくり、背後から……。  ハッとして振り返った瞬間、ロイスは目を見開いた。  
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