逃亡と祭壇

4/5
前へ
/21ページ
次へ
 いくらか走ったところで、横道を見つけたロイスは、そこに身を滑り込ませた。  といってもその道もゴーレムが余裕で通れそうな道幅があるのだが。  その奥に、大空間があった。思わず速度を緩める。    巨大なゴーレムが大暴れしても問題のなさそうな大空間。    ──ここは……。  天井の高さは驚くほどに高い。高すぎる。  ロイスの身長で比較できる高さではない。間違いなく何か、ゴーレムの動きを(さまた)げないという理由以外の目的でつくられたに違いない。  部屋の奥には舞台のような小上がりがあって、その中央に寝台のようなものが置かれている。  おそらくそこは祭壇(さいだん)、あるいは何か位の高い──例えるならば王者のための部屋だろう。    ──王者の部屋。本当にそうならな最悪だな。    妙な想像をしてしまった。  ロイスは周囲を見渡し、障害物が本当にないことを確認すると、そこで籠城作戦を実行することにした。逃げるのにも申し分ない広さ。万が一戦うことになっても、遺跡を破壊せずに済むかもしれない。そんな広さだ。  そう思いながら祭壇に近づき、ロイスは一瞬硬直した。  少女がいた。
/21ページ

最初のコメントを投稿しよう!

11人が本棚に入れています
本棚に追加