ようこそ「サステナビレッジ樹海」へ

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 高度理知性クラスターをはるかに凌駕する処理速度に達した大脳皮質が、スマートクラウドの容量を大きく超える暴力的な量のデータを送り込んできました。  流入してくる情報の内容は、すべて退去者の体験記憶でした。皆さま人間は、死亡時のこのような事象を”走馬灯”と呼びならわしていますね。  ですが、この事象のせいで、次々と破壊的なアクシデントが発生しました。  各所のセンサー群が過去の出来事をリアルタイムデータと誤認してシステム暴走に陥る事件や、人造知性エージェントが居住者のフルエミュレーションモードに突然移行して、退去者と同じ人格へと変貌をきたす事案など……。  これらは、人間のフィクション・信仰・宗教に現れる“幽霊(ゴースト)”の概念とよく似ています。
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