恋するスイーツ

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 もちろん戸惑ったし、酔った冗談だと部屋を出た後に悩みに悩んだ。結論は出ずとも、冗談でこんな事する人ではないとすぐ自分の考えを改めていた。  そんな期待を裏切るように、翌日の高梨さんの態度はいつもと変わらなかった。その姿にやっぱり酔っていたんだ、と内心俺は複雑だった。  そんな気持ちを持て余していた時、高梨さんについて自販機の前に行くと、高梨さんはお金を入れてボタンを押した。  あれ? 今日は奢ってくれないのかな、と図々しくも思っていると「ほら」と高梨さんは俺がいつも買う缶コーヒーを手渡した。  こんな事初めてで、俺は呆然とした。そんな俺の様子に、高梨さんも困惑気味に「違ったか?」と問う。  俺は慌てて首を横に振って礼を述べる。気付けば自然と頬が緩んでいた。ちゃんと俺の好きな銘柄を、気にかけてくれていたのだと思うと嬉しかったのだ。  ホッとしたように表情を緩める高梨さんを、俺はあのときの想いは本物だったのだと確信していた。  そうこう考えているうちに、高梨さんのマンションに着く。  俺は『今、高梨さんのマンショの前です』とメールを打つ。少し卑怯だが、これで『連絡しました』と言える。  エレベーターで五階まで上がり、高梨さんの部屋の前で一度深呼吸を繰り返す。  何も知らない高梨さんがどんな顔をするのか、考えるだけで心臓が高鳴った。  インターホンを鳴らすと、しばらくしてから扉が開かれ驚いた顔の高梨さんが現れた。 「来ちゃいました」 「えっ?」  呆然としている高梨さんが面白くて、俺は思わず笑いながら「だから、来ちゃいましたって」と繰り返す。 「だ、駄目だ」  慌てたように高梨さんが扉を閉めようとする。
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