恋するスイーツ

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 もちろん図星ではあった。言葉数の足りない高梨さんが、子供相手にきちんと会話が出来るのか疑わしいところだ。 「いえ……そうじゃないですけど……」  嘘でも俺は慌てて首を横に振る。一応、高梨さんが上司であることには変わりない。 「お腹も満たされたし、きょーすけ続きしましょ」  美織ちゃんがイスから降りると、雑然と並べられた人形とティーセットのところへ行ってしまう。 「……」  高梨さんはまだ食べ終えてないパフェと、美織ちゃんを見比べている。  そのなんとも言えない表情に「良いです。俺が相手しますから」と自ら買って出る。 「すまない」  そう言いつつも、ちゃっかり美織ちゃんの残したパフェを自分の方に引き寄せている姿を俺は見逃さなかった。  そんなお茶目な姿を見れた俺は、顔がデレデレになってしまう。思わず抱きつきたくなる気持ちを必死で押さえ込む。 「川神! 執事の癖に顔がだらしない! クビにするわよ!」  美織ちゃんの激に、慌てて俺は執事へと変貌を遂げた。  その日以降、何かと理由を付けては俺は高梨さんの部屋へと足を向けた。  何よりも心配だったのだ。高梨さんは料理をまともに出来なさそうだし、美織ちゃんの相手をちゃんと務まるとも思えなかった。  それに、役職がある高梨さんは定時を過ぎることも多い。美織ちゃんは延長出来る保育園に通ってはいるものの、あまり遅くなると可哀想だ。  そこで俺は高梨さんの好感度を更に上げる為にも、お迎えも買って出る。  もっと好きになってもらって信頼関係も深くなれば、ちゃんと思ったことも言ってもらえるかもしれないという算段はもちろんあった。
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