恋するスイーツ

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「美織の好きそうなもの、当ててみてー」  難しいクイズだが、ここは無難に「ハンバーグ?」と子供が好きそうなチョイスを口にする。  俺の甥っ子も確か、ハンバーグが好きだったはずだ。 「さすが川神! 分かってる」  美織ちゃんの手がギュッと強くなる。正解だったようで、ホッと胸を撫で下ろす。  途中のスーパーで買物をして、借りていた合鍵で部屋へと入る。 「川神はりょーすけとお友達なの?」  夕飯の支度をしていると、美織ちゃんがお絵かきをしながら声をかけてくる。 「んーお友達、かな」  まさか、恋人だとははっきり言えなかった。それに付き合っていると思っているのは、俺だけだったりして……悪い思考に胸がズキッと痛んだ。 「好きなの?」  美織ちゃんの言葉に、ひき肉を捏ねていた手が思わず止まってしまう。  どういう意味での『好き』なのか分からなかった。友達としてなのか、恋人としてなのか、人としてなのか……。 「美織はりょーすけが好きだよ。少し怖いけど、優しいもん」  グルグルと色鉛筆が紙を滑っていく音が、静かな部屋に響いている。 「……そうだね。俺は凄く好きだよ」  それは確信を持って言えた。  夕飯の下準備を終えてから、美織ちゃんをお風呂に入るように促した。 「見ないでね」  俺に冷たい視線を向けて、お風呂に向かう美織ちゃんに苦笑いが溢れてしまう。  まだ五歳なのに、すでに自分を男として見てくれているようだった。  インターホンが鳴り、高梨さんが帰ってきたので出迎える。 「お疲れ様でした」 「今日はすまなかったな」  少し疲れた顔で高梨さんが、部屋に上がり込む。
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