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「わぁっ!? そんなことになってたんだ!」
「うん。ごめんね、しばらく連絡できなくて……」
「いいよいいよ! で、お母さんは、今は?」
「うん。だいぶ症状も落ち着いて、今はお仕事も休んでるけど、このままならすぐに復帰出来るって」
「そっかー! 良かったね、弥生!」
――数か月後。私はいつものカラオケ屋で、真亜美にいわゆる近況報告をしていた。
ここ数ヶ月はてんやわんやで、真亜美とゆっくり話す時間もなかったのだ。
賢哉から話を聞いた後、私はお母さんと二人きりで色々な話をした。お母さんは病気やストレスのせいで、まだ少しおかしかったけれども、根気強く話した。
沢山文句も言った。「なんで病気のことを黙っていたの」とも。でも結局、最後はお母さんに縋り付いて、小さな子供みたいにワンワン泣いてお母さんを困らせてしまった。その事は真亜美には内緒だ。恥ずかしいから。
お母さんと一応の仲直りを済ませた私は、賢哉を手伝ってお母さんの治療をバックアップすることになった。
今までも家事は手伝っていたけれども、それ以上にお母さんの面倒を見るようにしたのだ。
もちろん、そのことでお母さんの回復が早くなった――なんてことはない。お医者さんに言われた通り、これからも長くて辛い治療が待っているそうだ。
でもきっと大丈夫だ。私達は乗り越えて行けると思う。
私とお母さんはもう二人きりではなく、うちには「お父さん」もいるのだから――。
(了)
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