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「ねこは『おしおきねこ』になりました。『おしおきねこ』はおしおきいがいのことはしませんが、おしおきをするかしないかはえらべます」
そう言うとねこは、俺に右手を差し出して握手を求めてきた。
「ねこは、またあしたタカシくんのところにきます。そのとき、くびのうしろのぼたんをおしてください。ねこはタカシくんがせいちょうするのにやくにたつ、ねこになりますから」
ねこの言葉に感動した俺は、ねこの手を強く握りかえした。
「じゃあ……」
「じゃあ?」
「お前、『ナンパねこ』になれよ!」
俺の言葉に、ねこは呆れてあんぐりと口を開け広げた。
「俺とさ、女の子をナンパしに行こうぜ! かわいい女の子と楽しいことしようぜ!」
教室がしーんとなった。
母さんが「あんたって子は……」と、ため息交じりに呟いた。
あれ? 俺やっちゃった? と自分の過ちに気づいた時には遅かった。
バチコーンっ!!
『おしおきねこ』の鋭い左フックが俺の顔面にさく裂した。
おわり
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