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「ねこは『わすれものねこ』ですから、わすれものをしたことをおしえるためにしゃべります」
「『わすれものねこ』?」
「ねこは『わすれものねこ』です。わすれものをしたことをおしえるのです」
同じことを言ってるなコイツ。とちょっと呆れかかっていたところで、ハッと気がついた。
「あ! じゃあ、俺が忘れた課題レポートを?」
コイツ、俺が忘れた課題レポートを持ってきてくれたんじゃないのか?
「はい。かだいれぽーとをわすれていることをおしえにきました」
やっぱり、課題レポートを持って来たんだ。
「ありがとう、ねこ! じゃあ、はい」
俺は課題レポートをもらおうとねこに手を出した。
「にゃ?」
ねこは俺の差し出した手を不思議そうに見つめた。
「いや、ほら、課題レポート持ってきてくれたんだろ?」
「ねこは『わすれものねこ』なので、わすれものをおしえるためのねこなのです」
「へ?」
なに言ってるの? と俺はねこを見つめた。ねこもどうしたの? と俺を見つめた。
「おとどけをするのは『おとどけねこ』なのです」
「え、じゃあ、課題レポートは持ってきてないの?」
「はい」
はい、じゃあねえだろう! 俺は怒鳴りそうになった。
「え? お前、なにしに来たの?」
「ねこは『わすれものねこ』なのでわすれものをしていますよとおしえにきました。ちなみに、ねこは『わすれものねこ』なのでいいますけど、ねこが『わすれものねこ』なのでわすれものをおしえにきましたということをタカシくんにおしえるのは、これでごかいめなので、もうわすれないでください。」
なんかよくわからないけど怒られた。
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