わすれものねこ

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「話をまとめると、お前はレポートを持ってきてないと」 「おまえじゃなくて、ねこです」  メンドくさくなってきた。 「じゃあ、その『おとどけねこ』にレポートを持ってきてくれるように頼んでくれない?」 「れぽーとをもってきてくれるようにおねがいするのは『おねがいねこ』のしごとです」  ああ、イライラしてきた。 「じゃあ、その『おねがいねこ』にお願いするにはどうすればいいの?」 「タカシくんのおかあさんがしたように『ねこねこかんぱにー』にでんわして『おねがいねこ』をちゅうもんするか、『おねがいねこ』のことをかんがえながら、ねこのくびのうしろにあるぼたんをおしてください。そうすると、ねこは『わすれものねこ』から『おねがいねこ』になります」  首の後ろにボタン? 俺はねこの後ろへ回り込んで首の後ろを見た。赤いボタンがあるのを見つけた。 「オッケー。じゃあ、早速」 「ああ、まってください!」  ボタンを押そうとした俺をねこは制止した。 「ねこをへんこうできるのは、いちにちいっかいです。いまへんこうしたらあしたになるまでへんこうできません」  えー、融通が効かないなあ。 「あ、そうか。ねこを『おねがいねこ』に変更するとお願いをするだけで、お届けをするねこを別に用意しなくちゃいけないから、お前を『おとどけねこ』に変えればいいってことだな」 「でも、それですと、あした『わすれものねこ』にへんこうするまで、きょうこれからタカシくんがわすれものをしたときにおしえることができなくなります」  ん? なにか引っかかるものの言い方だなあ。 「だから、俺が今から忘れ物をしなければいいんだろ?」 「たぶんむりです」  あ、コイツ俺のこと見くびってるな。
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