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「なんでお前がそんなことを言えるんだよ。俺の何を知っているんだよ」
「タカシくんのママさんが、タカシくんのわすれもののおおさをしんぱいしてねこをよんだからです」
「え? お前、母さんから雇われたの?」
「そうです。いままでタカシくんがどれだけわすれものをしていたのかママさんからききました。ママさんはタカシくんのことをしんぱいしてましたよ。わすれもののおおいタカシくんが、しょうらいちゃんといきていけるのか、と」
そうか。母さんがそんなにも俺のことを……。
「もうひとついうと、ねこを『おとどけねこ』にかえるのは、どうかとおもいます」
「は?」
「タカシくんはママさんのためにもわすれものをしないようにどりょくするべきだとおもいます。だから、かだいれぽーとはわすれましたとせんせいにあやまって、そのおこられたかなしさをかてにこれからがんばりましょう」
なんでこんな妙ちくりんなネコ型ロボットにダメ出しされなきゃいけないんだ。
俺はそんな悔しさと、レポートを忘れて怒られる憂鬱と、母親の心配に対する申し訳なさとウザさで頭がいっぱいになった。
そうして色々な物事が頭を一杯にしたとき、あるアイデアが浮かんできた。
「そっか。母さんに連絡しよう」
「え?」
ねこは呆気に取られた顔をして俺を見つめた。
「いや、お前をどうこうしなくても、母さんに『レポートを学校まで持ってきて』って言えば済む話じゃん?」
「はい?」
「そんなにまで俺のことを心配してくれる母さんならレポートを持ってきてって必死にお願いしたら持って来てくれるっしょ」
「さっきのねこのはなしをきいてましたか? タカシくんはしっかりとやれることをママさんにみせないと」
「ま、それは次から。とりあえず、今は先生に怒られたくない」
俺はスマホを取り出して母さんに連絡しようとした。
「ここはラインじゃなくて、電話だな。なるべく落ち込んだ声を出そう」
と、考えながらスマホを触っていると、急にねこが殺気を放ちはじめた。
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