わすれものねこ

5/7
前へ
/7ページ
次へ
「タカシくん、ママさんにでんわするのはやめなさい」 「え? するけど」 「やめないと、ねこの『かんにんねこぶくろ』のおがきれますよ」 「なにそれ?」  俺はねこを無視して母さんへの連絡を急いだ。 「わかりました。タカシくんがそのきなら、ねこにもかんがえがあります」  ねこはそう言うと、自分で首の後ろに手を伸ばした。  カチッ  ねこは自分の首の後ろの変更スイッチを押したようだった。  ねこは一瞬ブルっと震えたが、見た目はなにも変わらなかった。しかし、なにか威圧的になった気がした。 「お前、なにしたんだよ」 「ねこはねこを『おしおきねこ』にかえました」 「え?」  言いながら、ねこが俺の方にゆっくり近づいてきた。 「いまからタカシくんをおしおきします」 「えーっ!」  見た目は変わらないのに、ズシンズシンと力強い足音を立ててねこが俺に近づいてきた。俺はゆっくりと後ずさりしたが、教室の壁まで下がり切って逃げ道がなくなった。 「わー! ごめんなさい! もうしません! 先生に正直に言いますから!」 「いえ、タカシくんをおしおきします」  ねこが右腕を高く上げた。やられる! 俺がそう思った時、いきなり教室のドアが開いて誰かが俺とねこの間に割って入った。 「やめて! ねこちゃん!」  この声は?
/7ページ

最初のコメントを投稿しよう!

19人が本棚に入れています
本棚に追加