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「タカシくん、ママさんにでんわするのはやめなさい」
「え? するけど」
「やめないと、ねこの『かんにんねこぶくろ』のおがきれますよ」
「なにそれ?」
俺はねこを無視して母さんへの連絡を急いだ。
「わかりました。タカシくんがそのきなら、ねこにもかんがえがあります」
ねこはそう言うと、自分で首の後ろに手を伸ばした。
カチッ
ねこは自分の首の後ろの変更スイッチを押したようだった。
ねこは一瞬ブルっと震えたが、見た目はなにも変わらなかった。しかし、なにか威圧的になった気がした。
「お前、なにしたんだよ」
「ねこはねこを『おしおきねこ』にかえました」
「え?」
言いながら、ねこが俺の方にゆっくり近づいてきた。
「いまからタカシくんをおしおきします」
「えーっ!」
見た目は変わらないのに、ズシンズシンと力強い足音を立ててねこが俺に近づいてきた。俺はゆっくりと後ずさりしたが、教室の壁まで下がり切って逃げ道がなくなった。
「わー! ごめんなさい! もうしません! 先生に正直に言いますから!」
「いえ、タカシくんをおしおきします」
ねこが右腕を高く上げた。やられる! 俺がそう思った時、いきなり教室のドアが開いて誰かが俺とねこの間に割って入った。
「やめて! ねこちゃん!」
この声は?
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