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城の自室で、ロムルス王子は目を覚ましました。
窓から外を見て、いったい何が起きているのかを知ると、着の身着のまま、剣だけを手にして廊下へと飛び出します。
兵士たちが続々と集まってきて、被害状況や、今戦っている部隊について報告をしました。王子は彼らの話を聞き、王と住民を避難させるように指示しました。龍をどうやって撃退するべきか王子が思案していると、そこに賢者が現れました。
「なぜ龍が現れたのか、何か心当たりはありますか?」と賢者が尋ねますが、王子にも龍の都合などわかるはずもありません。ただ、手短に今の状況を説明することしかできません。
「件の魔法は使える状態なのか?」
王子がそう聞くと賢者はうなずきました。
「これは好都合かもしれません。龍の山には、あの忌々しい不死者たちがいますが、幸いにも、龍は単独でここにきたようです」
「そうだ。城門を守る兵士から、異常の報告はない。龍は空から、護衛もなしにやってきた。王都のど真ん中にな」
「王子よ。奴の注意を引いてください。私が教会の鐘楼に昇って、そこから龍に魔法をかけましょう。準備ができたら、鐘を鳴らしますので、鐘楼から見える位置まで龍をおびき出してください」
教会の鐘楼は王都の中心にあり、ここで一番高い建物です。そこからなら、街の主要な通りを一望できます。王子が作戦を了承すると、賢者は鐘楼へと走りだしました。
王子は部下に命じて馬を用意させると、鎧もつけずに龍の元へと向かいました。
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