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「なんだこれは?」
ロムルス王子は倒れたモノを見て、つぶやきます。
「これが、龍です。古代魔法の力で、今はこのような姿になっています」
賢者は疲れを見せながらも会心の笑みを浮かべています。
意識を取り戻したとき、龍は二人の人間が自分を見下ろしていることに気が付きました
見下ろしている?
ありえないことです。龍の巨体を見下ろすことのできる人間など、この世にいるはずがありません。しかし、事実目の前にいる人間は、自分を上から見つめています。
龍は立ち上がります。賢者の魔法が何だったのかはわかりませんが、龍がこうしてまだ生きているということは、きっと、大したことのない魔法だったのでしょう。
無礼な人間に目にものを見せてやろうと、龍は爪で襲い掛かりました。
しかし、龍の視界に飛び込んできた自分の腕には、爪がありませんでした。
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