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「なんだこれは? こいつは不死身だというのか」
「賢者、とやら」龍は笑みを浮かべて、語りかけます。「お前の魔法は面白い。こんな姿になったのは初めてだ。こんな苦痛を受けたのも初めてだ。褒美を取らせてやりたいところである。我が王国を取り仕切っているパラメシアという不死者に、申し出るがいい。最高の財宝をもらえるであろう」
「謹んで、辞退いたします」
賢者は渋い顔でそう返答しました。龍は勝ち誇ります。
「このような姿にされるのは初めてといったが、殺されたのはこれが初めてではない。何人か、人間の英雄や魔法使いのなかには妾を殺せた者がおる。じゃが、妾は幾ら殺してもすぐ蘇ってしまうので、みな力尽きて爪と牙の餌食となったわ」
王子はしばし呆然とします。
「術は龍の力をすべて封じているようだが、不死身であるということは変えられないのか」
「寿命と生命に関する特性は、そのままのようです」
王子と賢者がそう推測していると、龍は胡坐を組み、こんな提案をします。
「術を解いて妾を解放せよ。さすれば、今後百年ほど、この王国には手を出さないでおいてやろう」
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