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「ふざけやがって!」成り行きを見ていた兵士の一人が叫びます。「ロムルス様。こいつを火炙りにして殺しましょう。灰にしてしまえば、不死だろうが何だろうが復活できないのではありませんか?」
その兵士の顔には、まだ真新しい火傷があります。きっと龍が起こした火災で痛い目に遭ったのでしょう。他の兵士たちからも、賛同の声があがります。
「殺された奴らの敵討だ!」
「復讐だ!」
「邪龍に死を!」
怒りの声は熱を帯び、野蛮で残酷な歌となって龍を取り囲みます。当の龍は涼しい顔をしているのですが。
「よろしい。やってみよう」
王子が許可すると、兵士たちは喜び勇んで火炙りの刑の準備をしました。
たくさんの薪を広場に積み上げて、その中心に龍を縛り付けて着火します。
王国の民や兵士たちは、炎にまかれて焼かれる龍の姿を見て、快哉の声を上げました。しかし、薪がすべて炭となって燃え尽きたあと、その中心には、最初と変わらぬ龍の姿があります。龍はあくびをして、人々は涙を流して悔しがりました。
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