13人が本棚に入れています
本棚に追加
ふむ、と王子は鼻を鳴らし、思案しました。
「もしもこの龍を奈落に落とそうとすれば、当然、不死者どもが襲ってくるであろうな」
「はい、間違いないでしょう」
「だが、龍をこの姿のまま牢獄に閉じ込めておくのも難しかろう」
「龍の山に住む不死者は恐るべき魔術を使うと聞きます。たとえ兵士と私が寝ずの番を続けたとしても、持ちこたえるのは難しいでしょう」
「そうだな。他に良い方法もなさそうだ」
王子の腹は決まりました。彼は兵士たちに向かい、声を張り上げました。
「すべての国民、兵士たちに告げる。私と賢者殿で、この龍を奈落へと投げ込む。これで龍は退治されるであろう。しかし、奈落までの旅は龍の下僕たちの妨害を受けること間違いないであろう。精鋭の兵と騎士を集めて、護送する。だが、あまりにも危険な旅ゆえ、志願者のみとする。出立は明日の明朝。我こそはというものは、直ちに名乗り出て欲しい」
たちまち何人もの兵士たちが手を挙げました。
王子と賢者は、側近の騎士に人選をまかせ、王の元へと向かいました。
奈落までの戦いは、とても過酷なものになるでしょう。王子は父王に、これから自分が行かなければいけない冒険について説明しなければなりませんでした。そして、戦死した場合に備え、王位継承権を誰に譲るかを遺言しておかねばなりませんでした。
最初のコメントを投稿しよう!