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手負いの獣が叫ぶかのような声とともに、パラメシアは起き上がり、両手の爪を伸ばすと兵士たちに切りかかりました。
兵士たちの多くは寝起きに参戦したために鎧を身に着けておらず、パラメシアの爪を防ぐ術がありませんでした。彼らは次々に爪の餌食となり、倒れていきます。
しかしパラメシアも地上で多数を相手に戦うことには慣れていません。兵士たちの剣や槍は彼女の腹と胸を切り裂いて、その身体を赤く染めていきます。
王子はパラメシアの爪をかいくぐり、間合いを詰めました。そうして、自分の間合いに入った瞬間を逃さず、必殺の突きを放ちます。剣に貫かれる寸前、短い舌打ちとともにパラメシアは跳躍しました。
再び空に飛んだパラメシアは、屈辱に満ちた表情で護送馬車に頭を向けます。
「主よ。次は妹たちを連れて参ります。次こそはお迎えに上がりますゆえ、今しばらくお待ちください」
そう捨て台詞を残して、彼女は飛び去りました。まき散らされる血液の赤い筋が、遠い空に消えていきます。
「逃げられたか」王子は剣を地面に叩き付けました。
「あのまま戦っていたら、負けていたのは我々かもしれません。助かったと思いましょう」
賢者は膝をついてうずくまっています。先ほど光の矢を大量に放った技は、彼にとっても負担が大きかったのでしょう。
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