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「アルゾ? あの少年か?」
王子の脳裏に、先程アルゾがパラメシアに一撃を加えた様子が浮かびます。
賢者は続けます。
「遊牧民であるケシュ族の男は、みな騎乗しながら弓を撃つことができると聞きます。あの少年の弓の腕も馬術も確かなものです。たとえ不死者に空から襲われたとしても、応戦しながら逃げることができるでしょう。他の兵士たちにはこれができません。それに、少女とアルゾは外見では同じ年頃に見えます。二人が馬に乗って進んでも、見た目には兄と妹にしか見えないでしょう。あの少年が龍を護送する大役を負っているとは誰も思わないでしょう。もちろん、不死者たちも」
王子は賢者の提案を聞いたあと、しばらく黙っていました。そうして、他にもっと良い計画もないことを認めて、賢者に従うことに決めました。
王子は側近を呼び、市長への連絡をつけるように指示し、自分はアルゾのもとへ向かいました。
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