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王都の戦い
そのころ、ルーダリア王国は深い眠りについていました。
王も家臣もみな眠りにつき、今は見回りの兵隊が松明を手に、王都を行きかっています。
その上空にたどり着いた龍は、眼下に広がる王都のありさまを見渡して、密かに不満の声を上げました。点々と松明の灯りがあるばかりで、王宮も城壁も古ぼけています。
「なんと見すぼらしい」と、龍は思います。
人間の住居を焼き払ったことは何度もあります。大きな都市ほど人間の抵抗は激しく、それを蹂躙するのは良い退屈しのぎでした。過去に滅ぼした都市と比べると、このルーダリアの王都は見劣りがしました。きっと貧乏で兵士もあまり雇えないに違いありません。
本当にこんなところに、龍を滅ぼす魔法と、それを使う賢者などというものがいるのでしょうか?
もしも無駄足を踏ませたのであれば、この都市は腹いせに炭にしてしまうつもりでした。そう決めると、龍は大きく一呼吸しました。
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