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エピローグ
ーーー
その時、マルス2から人工音声が響いて来た。
「カズキ、そしてスペースYの仲間達。皆さんのお陰で、私の分身、マルス2は火星の地底湖への着水を果たしました。私は本当に火星へ行きたかった。でも私にはそれはとても難しい夢でした。そんな私に、私の分身が火星へ到達する機会を与えてくれたカズキ……。貴方に私の最初で最後の感謝を伝えます。本当にありがとう!」
俺は自分の頬を涙が流れるのを感じていた。
「リサ、こちらこそ、ありがとう」
俺の涙の雫がベッドで眠っているリサの頬に落ちた。その瞬間、リサの表情が少しだけ笑顔に包まれた様に感じた。
ーーー
リサはその翌日に息を引き取った。
しかしリサの分身のマルス2は内部電源 が寿命を迎える八カ月の間、地底湖の調査を実施した。そしてマルス2は四十九種類の火星生物をその地底湖から発見する偉業を成し遂げる事になる。
その発見の報も今は亡きリサの声で地球に齎された。
FIN
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