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ドアを開け、明かりをつけるスイッチに手を伸ばした。
玄関が明るくなり、ワンルームの小さな玄関にそろえたローヒール。
コートを脱ぎながら、振り向くと…。
「おかえり」
?
男?
「飯?それとも風呂?どっちもすぐできるけど?」
??
フード付きトレーナーに私の赤いエプロンをつけた男?
ばさりとコートが落ちた。
「あーそれとも俺にする?」
???
そのままバック、回れ右、靴を履き、外へ出た。
誰?
今のイケメン誰?
ここは私の部屋だよね?
ドアが開いた。
「何してんだよ、寒いだろ」
・・・。
うちにイケメンがいます。
おかしいだろ?
「あー、それとも、忘れた?」
そっちだと思う。
とにかく入れと部屋の中へ入る。
泥棒?
マジで忘れたの?
とにかく入れと部屋の中へ。
座れと言われたが怖くて・・・。
「ほんと、覚えてないの?」
コク、コクと頷く。
シャーねーなと言って、その人は、ベランダのサッシを開けた。外に出たと思ったら。
いなくなった?
え?
ドアに駆け寄り外を見る。
落ちた?
下を見てもそんな気配がない。
するとマスクをして黒い帽子をかぶった人がぬっとあらわれた。
「わっ!」
「そんなに驚かなくても」
彼はそのままひょいと隣から入ってきた。
え、まって、何?
「まじで忘れた?相当飲んでたしな、今朝もあわてて出ていったしー」
今朝、うん、慌てて出ていったけど…?
「あんなに濃い夜を過ごしたのに?マジで覚えてねえの?」
え?
ほんと?
いやー、何にも覚えてなくて。
え?まじで?
男性の顔が真っ赤になっていく。
私何かやらかした?
「…昨日、失恋したって…」
あ?
それ正解。
「すごい酔っぱらって帰ってきたのは覚えてる?」
覚えてない。
「覚えてないかー」
・・・。
「まあいいか、じゃあ自己紹介で、俺隣に住む本田涼」
まあいいかってどういうこと?
いいじゃん、いいじゃん、とにかく飯、冷めちゃう。
「わ、私…」
「ああ、知ってるから、鈴木えみさん、はい、どうぞ」
え?えー??
彼の作ったものは、純和食。
ご飯に味噌汁、煮魚とお浸し。そしてちょっとだけお肉が焼いてあった。
おいしい。
だろーと言いながらバクバク食べているけど…?
目があった。
あーえーと。
昨日の話を彼はし始めた。
俺は鍵を忘れて、隣の君の部屋から入れてもらおうと思っていたんだけど、帰ってきた私は泥酔状態で、彼に絡んだらしい。
一つは一人じゃ淋しいからいてほしいといって。
もう一つは一夜の過ちでいい、俺に忘れさせてほしいって言って…。
まじ?
「す、すみません、私から。飲むと記憶なくすまで飲んじゃうもんだから、押さえてたんですけど、もうどうにでもなれと思って、すみません、すみません」
やけを起こして飲みすぎた私が悪いのだ。
床に手をついて頭を何度も下げた。
いやー、俺としちゃ、願ったりかなったりというか、とにかく食べてしまおうといわれた。
調理器具はない彼、うちのを自由に使っていいといわれ、ベランダはいつも空いてるからと言って…。
あれ?でも隣って…
うちのマンションは、ワンルームが大きな部屋の間に配置されている、それは、外から見ると、段々になっているようなデザインで、隣が見えない設計になっているのだ。
隣から来たというのであれば、彼は広い部屋、金持ち?
うちは六万その両隣は倍以上だって聞いていた…?
「ねえ聞いてる?」
彼はいつの間にか片づけをしてキッチンに立っていた。
ごめんなさい。
「わかれたばっかりで、わかるけどさー、とにかく風呂行ってきなよ」
首を振った。
なんで?
脱衣所がない。
部屋を区切る唯一のものがそこにあるアコーディオンカーテン。
いいじゃん、裸なんか見たんだし…。あ、忘れてるのか。
とにかく片づけようと、彼と一緒に片づけをした。
そして彼はじゃあと言って、ベランダから隣の部屋へと帰っていった。
何が何だかもよくわからないまま、お風呂に入った。
湯船につかり考えるがわからない。
なんだかなー?
フー。
眠い。…めちゃっ眠くて…。
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