脱せよストーカー予備軍

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「伊丹、701だ。行くぞ」 「あ、はい」 伊丹は明智に呼ばれすぐに駆け寄り、二人でエレベーターホールに並ぶ。 「それ貸せよ」 「え、」 エレベーターに乗り込む前に何故か明智のものだけでなく自身の荷物も持ってくれる明智を不思議に思いながら、7階なら結構夜景綺麗かなとぼんやり考えた。 部屋の前についてカードーキーで鍵を開け早速中に入ってみれば、写真よりも随分狭く感じる。 部屋の対角線上から写真を撮り広く見せるよくある手法かと思いながら、明智は内心ガッツポーズを決めていた。 「ベッドが思ったより近ぇ...」 「まあビジホなんでこんなもんですよね。でも寝るだけだし十分じゃないですか?明智さんベッドどっちが良いです?」 「...んなのどっちでもいい」 というより伊丹と一緒のベッドがいい。 そんな腹の内は明かすことなく、じゃあ俺窓際にしますと若干はしゃいでる様子の伊丹を微笑ましく見守る。 「あ、明智さんコートとスーツ掛けちゃうんで貸してください」 「ああ。さんきゅ」 腰を落ち着けたかと思えばすぐにそんな気遣いをしてくれる伊丹に着ていた衣服を手渡し、ここからどう伊丹との関係を進展させようかと明智は考えあぐねた。 「夜どうしましょうか。コンビニで買って来てもいいですけどなんか味気ないですよね」 「したら少し飲みに出るか?古賀さんが勧めてくれた店もこの辺にあるらしいし」 「いいですね、そうしましょう」 二人でそう話し、スーツからラフな格好に着替えてスマホと財布を手に取る。 「俺この時を待ってたって感じです」 「あ?」 「業後が出張の醍醐味じゃないですか。それに今回は明智さんもいるし」 「...っ、...ほんと可愛いな」 「え?」 「あ?...いや、...」 明智の言葉をしっかりと聞き取ってしまった伊丹は困惑したように視線を寄越すが、明智はすぐに部屋の外へと足を向けてなんとか誤魔化した。 「楽しみだなあ...美味しいものたくさん食べて明日も頑張りましょう」 「ああ、そうだな」 明智は伊丹と一緒に過ごせるときめきを胸に秘めて、二人で夜の街へと繰り出した。
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