1.桜の下の、まだ見ぬ光

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「岐阜県?! 僕は平川(ひらかわ)平川(ひらかわ)ヒカリ。市内の小学校出身だよ」 「そうなんだ! 私まだこの街のこと知らないから、いろいろ教えてね」 「うん。もちろん、いいよ」  知らない人と話すのは何故かあまり緊張しない。コハクは雪化粧のような瞳のなかに、僕を映して言った。 「ねえ、ヒカリくん。私たち、友達にならない?」 「えっ、いいけど……」  僕は戸惑った。入学式初日に、知らない女の子と友達になれるなんて思いもしなかったからだ。 「じゃあ決まりだね! 私のことはコハクって、呼び捨てにして構わないから」  春風が吹き抜ける間に、僕らは他人から友達になる。 「あ、あの。どうしてコハクは、こんな僕なんかと友達になろうと思ったの?」  自分を卑下するつもりはなかったが、転校生とはいえ明らかにクラスの中心にいそうな美少女が、校庭の隅で僕なんかに話しかけてくれることが意外だった。
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