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「岐阜県?! 僕は平川、平川ヒカリ。市内の小学校出身だよ」
「そうなんだ! 私まだこの街のこと知らないから、いろいろ教えてね」
「うん。もちろん、いいよ」
知らない人と話すのは何故かあまり緊張しない。コハクは雪化粧のような瞳のなかに、僕を映して言った。
「ねえ、ヒカリくん。私たち、友達にならない?」
「えっ、いいけど……」
僕は戸惑った。入学式初日に、知らない女の子と友達になれるなんて思いもしなかったからだ。
「じゃあ決まりだね! 私のことはコハクって、呼び捨てにして構わないから」
春風が吹き抜ける間に、僕らは他人から友達になる。
「あ、あの。どうしてコハクは、こんな僕なんかと友達になろうと思ったの?」
自分を卑下するつもりはなかったが、転校生とはいえ明らかにクラスの中心にいそうな美少女が、校庭の隅で僕なんかに話しかけてくれることが意外だった。
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