みぃー(3)

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 ボクは、長尾さんたちがボクらから遠ざかるのをただながめていた。昨日はあの中に自分もいたのに、今日は外からながめることしかできない。 「そのうち、ねこと言えばごはんねこになるさ。あ、さとるにはあそびねこだったな」  ううーん、と高士はひと仕事終えたみたいに体をのばした。 「うん。いろんな遊びができるんだよ。けど、その中から一つだけしか選べなくて、オセロにしたんだけど、強すぎて勝てなかったんだ」  話せる相手がいる。  ひとりぼっちではないことにボクは安心した。 「ロボットだから頭を使う勝負は勝てるわけないさ」  高士はボクのかたをポンとたたくと、教室をでていこうとした。 「もうすぐ先生来るよ」  ボクは「やっぱりロボットなんだね」と返そうとしていたのをやめて、高士を呼び止めた。  あと五分もすればチャイムがなるし、担任はたいてい一分前にやってくる。それに、ボクはひとりになりたくない。 「少しでもきたえたいんだ」  高士はろうかを走りだした。ボクの足がひっぱられるようにあとを追いかける。  ボクといてほしい。ひとりにしないでほしい。 「ろうかは、走ったら、ダメだよ」  走りながら声をしぼりだしたけど、高士はふりかえることなく階段をかけおりて、げた箱へと向かった。  ボクも運動ぐつに手をのばしたときには、高士の姿が見えなくなっている。  くつをはくのに立ち止まる。ボクの息が落ちついて、ふと疑問がわいてきた。  ……高士はいったい外でなにをするんだろう。ひとりで。しかも、きたえるって、どういうことだろう。
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