悪魔のように美麗な執事に恋に堕ちてしまった私は、悪役令嬢となって婚約者をヒロインに差し出すことにいたしました

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 あまりにも壮大なベリアルの告白に言葉を失っていると、頭を優しく撫でられました。 「ビアンカへの本物の愛に目覚めたことにより、私は本来の姿を取り戻せたようです」 「そ、んな……」 「そうなのですよ」  ベリアルが目を細めて、私に微笑みかけました。私の胸が切なく震えます。 「執事であっても、悪魔であっても、天使であっても……貴方であることに変わりはありません。どんな姿であっても、愛しています」  ベリアルが睫毛を揺らしました。 「もう今更、天上に戻ることはできませんが……それでも、ここに。私の傍にいてくださいますか」 「もちろんです。私の命が尽きるまで、永遠に」  そう誓った私に、ベリアルがクスリと妖艶な笑みを浮かべました。 「魔窟(ここ)にいる限り、貴女の若さと美しさと命は失われることはありません。  ビアンカ、貴女は永遠に私のものです」 「あぁ、では……本当に、ベリアルの傍にいられるのですね」 「えぇ。お気の毒ですが、もう逃げられませんよ」  ベリアルの唇が私の唇に重なり、再び甘美な交わりに縛られます。    私のハッピーエンドには、どうやら終わりがないようです。 <完>
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