悪魔のように美麗な執事に恋に堕ちてしまった私は、悪役令嬢となって婚約者をヒロインに差し出すことにいたしました

88/100
前へ
/100ページ
次へ
 私の髪の毛を1束救い上げると、リチャードが口づけを落としました。 「なぜ、まだ分からないのですか。  私が、貴女を本気で愛してしまったこと。それが、誤算だったということを」    私の瞳がみるみる見開かれていきます。唇が震え、喉から声を出そうとするのに、驚きのあまり息をすることさえできません。  リチャードが、私を愛している?  本当なのですか……?  信じたい、そうであって欲しいと願いつつも、そうやって私の心をいとも容易く操って愉しんでいるのではないかという疑いを払拭することができません。  愛しているのなら……どうしてあんな酷い仕打ちができるというのでしょう。  私は、今までにないほどの苦しみを、痛みを経験し、地獄を味わいました。  本当にリチャードが私を愛しているのなら、なぜずっと放っておいたのですか。  助けてくださらなかったのですか……
/100ページ

最初のコメントを投稿しよう!

179人が本棚に入れています
本棚に追加